合理的配慮とは?障害のある子の支援で認められる範囲とは?

合理的配慮とは?障害のある子どもの支援で認められる範囲は?

障害があるからと、どんな要望でも認められるわけではありません。
認められる範囲については、このように定められています。

 

合理的配慮とは・・・

合理的配慮とは、「障がいのある子供が他の子どもと平等に
『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するために、
学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、
障害のある子供に対し、その状況に応じて学校教育を受ける場合に
個別に必要とされるもの」であり、
「学校の設置者及び学校に対して体勢面、財政面において、
均衡を失した又は過度の負担を課さないもの

 

共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育システム構築のための
特別支援教育の推進(報告)平成24年7月中央教育審議会

 

平成28年4月1日 障害者差別解消法 施行
障害者の権利に関する条約において、
「合理的配慮」の否定は、障害を理由とする差別にふくまれている
とされていることに留意する必要がある。
障害のある子供に対する支援については、法令に基づき、
又は財政措置より、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、
市町村は各市町村内で教育環境の整備をそれぞれ行う。
これらは、「合理的配慮」の基礎となる環境整備であり、
それを「基礎的環境整備」と呼ぶこととする。

 

合理的配慮で認められる範囲

以下、文部科学省のホームページから
.「合理的配慮」の提供として考えられる事項
(1)障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校等で行う場合には、「合理的配慮」として以下のことが考えられる。
(ア)教員、支援員等の確保
(イ)施設・設備の整備
(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮
(2)障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校等で行う場合の「合理的配慮」は、特別支援学校等で行われているものを参考とすると、具体的には別紙2のようなものが考えられる。
(3)「合理的配慮」について条約にいう、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」についての考慮事項としてどのようなものが考えられるか(例えば、児童生徒一人一人の障害の状態及び教育的ニーズ、学校の状況、地域の状況、体制面、財政面等)。

 

1.共通
• バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点を踏まえた障害の状態に応じた適切な施設整備
• 障害の状態に応じた身体活動スペースや遊具・運動器具等の確保
• 障害の状態に応じた専門性を有する教員等の配置
• 移動や日常生活の介助及び学習面を支援する人材の配置
• 障害の状態を踏まえた指導の方法等について指導・助言する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士及び心理学の専門家等の確保
• 点字、手話、デジタル教材等のコミュニケーション手段を確保
• 一人一人の状態に応じた教材等の確保(デジタル教材、ICT機器等の利用)
• 障害の状態に応じた教科における配慮(例えば、視覚障害の図工・美術、聴覚障害の音楽、肢体不自由の体育等)

 

2.視覚障害
• 教室での拡大読書器や書見台の利用、十分な光源の確保と調整(弱視)
• 音声信号、点字ブロック等の安全設備の敷設(学校内・通学路とも)
• 障害物を取り除いた安全な環境の整備(例えば、廊下に物を置かないなど)
• 教科書、教材、図書等の拡大版及び点字版の確保

 

3.聴覚障害
• FM式補聴器などの補聴環境の整備
• 教材用ビデオ等への字幕挿入

 

4.知的障害
• 生活能力や職業能力を育むための生活訓練室や日常生活用具、作業室等の確保
• 漢字の読みなどに対する補完的な対応

 

5.肢体不自由
• 医療的ケアが必要な児童生徒がいる場合の部屋や設備の確保
• 医療的支援体制(医療機関との連携、指導医、看護師の配置等)の整備
• 車いす・ストレッチャー等を使用できる施設設備の確保
• 障害の状態に応じた給食の提供

 

6.病弱・身体虚弱
• 個別学習や情緒安定のための小部屋等の確保
• 車いす・ストレッチャー等を使用できる施設設備の確保
• 入院、定期受診等により授業に参加できなかった期間の学習内容の補完
• 学校で医療的ケアを必要とする子どものための看護師の配置
• 障害の状態に応じた給食の提供

 

7.言語障害
• スピーチについての配慮(構音障害等により発音が不明瞭な場合)

 

8.情緒障害
• 個別学習や情緒安定のための小部屋等の確保
• 対人関係の状態に対する配慮(選択性かん黙や自信喪失などにより人前では話せない場合など)

 

9.LD、ADHD、自閉症等の発達障害
• 個別指導のためのコンピュータ、デジタル教材、小部屋等の確保
• クールダウンするための小部屋等の確保
• 口頭による指導だけでなく、板書、メモ等による情報掲示