5歳児の発達の特徴
5歳の幼児期の子どもの発達の特性は、厚生労働省の2008年告示の保育所保育指針及び解説で、次のように示されています。
<厚生労働省告示の保育所保育指針>
基本的な生活習慣が身に付き、運動機能はますます伸び、喜んで運動遊びをしたり、仲間と共に活発に遊ぶ。
言葉によって共通のイメージを持って遊んだり、目的に向かって集団で行動することが増える。さらに、遊びを発展させ、楽しむために、自分たちで決まりを作ったりする。
また、自分なりに考えて判断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。
他人の役に立つことを嬉しく感じたりして、仲間の中の一人としての自覚が生まれる。
<厚生労働省告示の保育所保育指針解説より>
起床から就寝にいたるまで、生活に必要な行動のほとんどを一人でできるようになります。
大人に指示されなくとも一日の生活の流れを見通しながら次にとるべき行動が分かり、手洗い、食事、排泄、着替えなどを進んで行おうとします。
また、共有物を大切にしたり、片付けをするなど、自分で生活の場を整え、その必要性を理解するようになります。
また、自分のことだけでなく、人の役にたつことが嬉しく誇らしく感じられ、進んで大人の手伝いをしたり、年下の子どもの世話をしたりするようになります。
こうした中で相手の心や立場を気遣っていく感受性を持つようになります。
運動機能はますます伸び、大人が行う動きのほとんどができるようになります。
縄跳びやボール遊びなど、体全体を協応させた複雑な運動をするようになるとともに、心肺機能が高まり、鬼ごっこなど集団遊びなどで活発に体を動かしたり、自ら挑戦する姿が多く見られるようになります。
手先の器用さが増し、小さなものをつまむ、紐を結ぶ、雑巾を絞るといった動作もできるようになり、大人の援助により、のこぎりなど様々な用具を扱えるようになります。
運動機能の高まりは、子どもの自主性や自立性を育てていきます。
5歳を過ぎると、物事を対比する能力が育ち、時間や空間などを認識するようになります。
また、少し先を見通しながら目的を持った活動を友達と行うようになり、仲間の存在がますます重要になります。
そして、目的に向かって楽しく活動するためには、それぞれが自分の役割を果たし、決まりを守ることが大切であることを実感していきます。
こういった集団活動の中で、言葉による伝達や対話の必要性が増大し、仲間との話し合いを繰り返しながら自分の思いや考えを伝える力や相手の話を聞く力を身に付けていきます。
主張のぶつかり合いやけんかが起きても、すぐに大人に頼らず、自分たちで解決しようとする姿が見られるようになります。
その結果、仲間の中で新たな目的が生じ、それぞれの子どもの役割に変化や発展が見られるなど、集団としての機能が高まってきます。
子どもはそれまでの経験や日々の生活を通して、自分なりに考え、納得のいく理由で物事の判断ができる基礎を培っていきます。また、納得できないことに対して反発したり、言葉を使って調整するなどの力が芽生えます。
自分の意図が伝わらず仲間から批判されたり、悔しい思いを経験したりすることもありますが、そうした経験が子どもの思考力の基礎を育てます。
そして、自ら考えながら、自分の気持ちを分かりやすく表現したり、相手の気持ちを聞く力が育つことを通して、子どもは、次第に相手を許したり認めたりする社会生活に必要な基本的な力を身に付けるようになります。
集団での活動の高まりとともに、子どもは仲間の中で様々な葛藤を体験しながら成長します。
そして一人一人の成長が集団の活動を活発なものに変化させ、そのことにより、個々の子どもの成長が促されていきます。
子どもは次第に仲間が必要であることを実感し、仲間の中の一人としての自覚が生まれ、自分への自信と友達への親しみや信頼感を高めていきます。
>>4歳児の発達の特徴:保育所保育指針・解説より
>>6歳児の発達の特徴:保育所保育指針・解説より
<参考>
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