自閉症や発達障害の子どもはなんでお絵かきが苦手なの?お絵かきを教える方法
自閉症や発達障害の子どもは、耳で聞くことが苦手な分、目で見ることが得意な子が多く、絵が非常に上手な子もいます。
しかしそれは稀で、自閉症や発達障害の子どもは、お絵描きが苦手な子が多いです。
そもそも、お絵かきが嫌いだという自閉症の子どもも多いです。
どうして自閉症や発達障害の子どもは、お絵かきが苦手なんでしょうか?
それは、自閉症や発達障害の子どもの理解の仕方や身体の器用さに関係しています。
自閉症や発達障害の子どもは、「ものの見え方」も違ったり、見たものを「どう脳で認識するのか」なども、定型発達の子どもたちと、違うのです。
1つずつ、自閉症の子どものお絵かきの何が苦手なのか、それはどうしてなのかを、説明していきたいと思います。
>> 自閉症の子どもの特徴とは?育てにくさと上手に付き合って育てていく関わり方・接し方 【Youtube動画解説付き】
自閉症や発達障害の子どもは、絵の見え方が定型発達の子どもと違うことがあります。
自閉症の子どもは、色の名前がなかなか覚えられない子どももいます。
それは、色の名前が覚えられないだけでなく、色を区別する力が弱い自閉症の子どももいます。
自閉症の子どもに、りんごの色を塗ろうね、と言っても、赤を選べない、などということがあります。
自閉症の子どもには、自分で色を選ぶ前に、大人が選んだ1本だけを渡してあげると良いですね。
絵を描く以前に、絵を見ても区別できない自閉症の子どももいます。
絵は、線から出来ていますが、自閉症の子どもは、線1本1本を理解できても、
その線全体で描いている1つの絵を、絵と見ることが苦手なのです。
また、自閉症の子どもは、リアルに描かれた絵は理解できても、抽象的に書かれた絵を区別することが出来ない子どももいます。
自閉症の子どもとお絵かきをするときは、実物を見せながら描くと良いですね。
上記に書いたように、「自閉症の子どもは、絵の捉え方や理解の仕方が定型発達の子どもと違う」という特徴があります。
それで、自閉症や発達障害の子どもは、物を見て、色違いの物を見たときに、同じだと分からないことがあります。
自分がいつも使っている青いスプーンはスプーンと思っても、銀色のスプーンは同じスプーンだと思えない子もいます。
実際のモノ同士でも、同じだと思えないのに、
絵に描いたものが実物を見立てて描いたものだ、同じなんだという理解をすることは、
自閉症の子どもにとってもっと難しいです。
だから、自閉症の子どもは、お絵描きすることの意味つまり
「実際にあるものを絵に描いて楽しもう」ということ自体を理解できないこともあります。
見立てるのが難しい自閉症の子どもの場合は、まずは、磁気のお絵かきボードのなどから、
線を引いて書いては、消す、スタンプを推しては消す、のような、
まず、描いたり消したりすることから楽しむと良いですよ。
自閉症の子どもは、上記に書いたように、物を理解するまでにも、定型発達の子どもより何年も時間がかかります。
それで、遊び方も、自閉症の子どもは、同年代の子どもより幼く、単純な遊び方を好みます。
自閉症の子どもは、おもちゃで遊ぶよりも、自分自身の身体に興味を持ち、くるくる自分が回って遊んだりするような単純な遊びを繰り返します。
自閉症の子どもは、おもちゃで遊んでも、ただ並べて眺めるような単純な遊び方を好みます。
それで、お絵かきに使うようなクレヨンなどの道具も、自閉症の子どもは、箱から出すのを楽しんだり、道具を転がして遊んでしまい、お絵かきの方に興味が持てないこともあります。
自閉症の子どもがクレヨンなどの道具で遊んでしまう場合は、1本だけ出して、一緒に描くと良いですね。
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>> 自閉症の子のこだわり行動とは?こだわりを減らして子どもの興味を広げるには
自閉症や発達障害の子どもは、発達が遅れるために、手先が不器用な子も多いです。
手先が不器用でうまく描けないために、お絵かきが好きになれない子もいます。
自閉症の子供のお絵描きは、まずは、好きなようにぐちゃぐちゃ描いたり、一緒に手を持って描いたりして、まずはお絵描きに慣れると良いですよ。
自閉症の子供のお絵描きは、塗り絵を塗ることから始めても良いですね。
自閉症の子どもは身体を自分の思うように使うことが苦手です。
でも、絵が思うようにかけるようにならないと、字も思うように書けず、
小学生になっても苦労します。
手先を器用にしていくためには、自閉症の子どもは感覚統合を鍛えていくと良いです。
こちらの記事を参考にしてくださいね。
幼児期の子どものお絵かきは、次のような順に発達します。
自閉症の子は、自分から、絵をどんどん描いていくというのは少なく、教えてもらって沢山練習した絵がやっとかける、というのが一般的です。
自閉症の子どもに教えるためには、絵の発達の順番を知ることが大切です。発達の順を飛ばして描くことはできません。
これは、幼児の絵の発達の順番です。
絵が描けないと、幼稚園や保育園のお絵描きの時間も退屈になり、立ち歩くなどの問題になります。
気長に、家で、練習しておくと良いですね。
なぐりがき
ぐるぐる
つなげた丸
丸
線
頭足人(頭から足や手が生えている)
人形・太陽・花・木・家を記号(図式)的に描く
基底線(地面)や空が現れる
では、自閉症の子どもに、絵の意味を理解してもらいながら、お絵かきを楽しく出来るようにする方法を説明します。
お絵描きに慣れていない自閉症の子どもには、
はじめは、ぐるぐるぐるぐる・・・と描いたり、ぐちゃぐちゃ・・・と描いたり。そんな風に自由に描いてもらいましょう。そんな、なぐりがきを数か月たったら、順番に形を描けるようにしていきたいですね。
まだ絵が描けない自閉症の子どもとは、色塗からはじめましょう。
果物を塗ったり、ジュースを塗ったり、子どもの好きなものから始めると良いですね。
少しお絵描きが慣れてきた自閉症の子どもには、何かに見立てて絵を描いて、
出来る部分を描き足してもらいましょう。
点で雨をかいたり、苺の点をかいたりして、点で遊びましょう。
出来るようになったら、次は、「縦」や「横」を練習しましょう。
「縦」や「横」は、就学に向けても、できるようにしたいですよね。
方向を覚えること、長い線が引けることがポイントになります。
「たて、たて、たて」と線を引く練習をしましょう。
「たて」と言えば間違えず縦線を引けるようになってから、横も練習しましょう。
線の練習は、字を書く基礎になりますから、できるようにしておきましょう。
縦線では、あめ、あめ、あめと遊べます。
縦線だけでなく、斜めの線もやってみましょう。
縦線や横線で、しましま や チェック なども描けるようにしましょう。
丸が描けるようになった自閉症の子どもとは、お顔の絵も描いてみましょう。
また、沢山描いて「雪」「おだんご」「りんご」「柿」などと、物に見立てて、色んな色で描いて遊びましょう。
丸がかけるようになった自閉症の子どもとは、三角や四角などの形も練習しましょう。
手を取って、「さんかく」と言いながら描きましょう。
四角も同様です。
点を3つ結んで、三角を描くのも良いですね。
○、△、□が描けるようになると、それを組み合わせて、色んなものが描けます。
丸、三角、四角がかけるようになると、組み合わせていろんな絵が描けますよ。
○だけで、お団子
○、△、□で、おでん
△と□でおうち
○と△でお花
煙突付の家やバス、電車などの複雑なものが描けます。
簡単なものから、だんだん難しいものへ進めていくと良いですね。
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