知らないと将来損をする「障害年金」 発達障害関連の制度
2017年1月8日8:00 PM カテゴリー:療育・福祉制度・就学情報/発達障害・自閉症児の育児におけるママのお悩み
障害年金 発達障害関連の制度
療育手帳を取得するかどうか、自閉症の診断を受けるかどうか
「自分の手で知的障害者にしたくない」相談者の中に多い声です。だから、療育手帳は取りたくない、病院の診断や療育は受けたくない。
その気持ち、同じ親だからなんとなく分かります。
私の場合は、あえてそこは気にせずにこう考えてきました。
「療育手帳は、福祉サービスを受けるため」
「病院の作業療法(療育)は1つの手段」
「市の療育は子どもを伸ばすもの」
「診断は、育て方を考える1つの判断材料」
「特別児童扶養手当は、子どもの手厚い育児にお金がかかるため」
「移動支援は、子どもたち2人が場所の制約なく余暇を楽しめるように」
だから、福祉サービスは、ありとあらゆるものを使ってきました。
だけど、そう思えない人もいる。
それはそれでもよいと思います。
ただ、制度をよく知らないままに、その選択してしまうと、後で困ることがあるので、その1例をご紹介します。
その1つが、「障害年金」です。
障害年金とは?障害年金の種類と受給条件
障害年金とは、20歳以上の障害者が条件を満たした時にもらえる年金で、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、もらうための条件は次のとおりです。
障害基礎年金
障害基礎年金とは、国民年金の加入中に病気やけがで一定の障害の状態になったとき、また、20歳よりも前に同様の状態になったときは、障害基礎年金を受け取ることができます。
障害厚生年金
同様に、障害厚生年金とは、厚生年金の加入中に病気やけがで一定の障害の状態になったとき、また、20歳よりも前に同様の状態になったときは、障害厚生年金を受け取ることができます。
市町村の国民健康保健の担当課で申請してください。
障害をもって生まれた人が障害年金をもらうためには、20歳より前に医師による病名の診断や療育手帳の取得が必要になります。
20歳を過ぎてから診断を受けた場合は、障害年金を納めていないと、もらえないことになります。
厚生年金のお問い合わせは年金事務所にお尋ねください。
発達障害や自閉症の場合の障害年金は20歳になる前に障害が証明されないともらえない
本来、障害年金は、将来、事故などで障害が残った場合に備えて、積み立てておく年金制度です。
ですから、納めていないのに貰う事は出来ないんです。
でも、生まれながらに障害があった人や、年金を納める年齢になる前に障害になった人は、例外的に、貰う事ができるんですね。
そのためには、年金を納める年齢になる前に、障害があったことを証明できないといけないんです。
そのためには、発達障害や自閉症スペクトラムの診断や療育が20歳より前に必要になります。
障害年金の受給条件の詳細につきましては、年金事務所にお尋ねください。
障害年金がもらえなくて後で後悔する事例
障害年金がもらえなくて、後で困る、こんな例があるそうです。
知的に遅れなく、大学を出て就職をした場合に、よくある事例です。
大学までは、困ったら、周りが助けてくれた。
働き始めると、自分で助けを求めなければ、だれも助けてくれない。
出来ないことが積もり、やめざるを得なくなった。
こんな例はとても多いそうです。
そんな時にも、療育手帳や診断が20歳前にあったら・・・
障害者雇用で再就職して、それが安い賃金であっても
障害年金を貰っていたら、なんとか生計を立てられるかもしれない。
でも、このときに障害年金をもらおうと思っても、20歳未満で知的障害や発達障害の診断が無いと、障害年金はもらえないんです。
福祉制度をよく知らないと、いざ欲しいと思った時に、「時、すでに遅し」で、貰えないことがあります。
だから、制度をよく知ったうえで選択してほしいと思います。
療育手帳を持ちながら、一人暮らしをし、運転免許を取得して運転して通勤し、職場には申告せず、障害者枠ではなく働いている人もいるそうです。
療育手帳は障害者の『たすき』をかけて歩くことではなく、制度を利用するためのもの。
障害をもった子を育てるのは、手も時間もお金もかかる。
障害年金の制度だけでなく、特別児童扶養手当など、障害者関係の福祉制度を有効に利用してほしいと思います。
また、制度は年々変わっていきますから、今ある制度がずっとこの先もあるとは限りません。
だからこそ、子どもが自立できる、1つでも多くの事を自分で出来るように育てていってあげてほしいと思います。
障害年金をもらうときのために 保管しておきたいもの
障害年金をもらうときには、過去のいつの段階で診断されたのか、どんな療育を受けたのか、学校での支援の状況など、過去の状況を書類に書かなければいけません。
将来、もし障害年金をもらうかもしれないこと、10年後、20年後も視野に入れて、これまでの事をまとめておくようにしましょう。
診断書などの保管
もし、診断名がついている場合、診断書をもらっておくと良いです。
また、MRIなどのデータをCDでもらえる病院もあるので、もらったら検査年月日を記載して保管しましょう。
脳波やMRIに異常がなくても、MRIを撮る必要性があった、という事実が残ります。
病院の保管義務は5年です。それを超えると、データが残っていない場合がありますので、各自で保管すると良いですね。
療育の記録(個別支援計画)や療育手帳、福祉医療受給者証などの保管
いつ、どのような療育にかかったのか、どんな内容の療育を受けたかがわかるように、福祉医療受給者証や療育手帳、療育の個別支援計画などをA4のファイルに綴じて保管しておくと、20年後も、具体的な内容がわかります。
上記に書いた通り、病院の保管義務は5年ですので、各自で必要なものは保管するようにしましょう。
母子手帳への記載・保管
いつ寝返りをした、いつ歩けるようになった、初めてしゃべった言葉(初語)、母子手帳の必要記入欄は、きちんと記載しておきましょう。
言葉や発達の遅れについて、市に相談したことなど、内容とその年月日も書いておくと良いです。
また、診断名と診断年月日、療育手帳の判定年月日と判定結果、受けた療育の場所と期間(時期)は、母子手帳にも記載しておくと良いです。
療育を受けた場所、期間も記入しておくと良いですね。
上記の、療育の記録ファイルが万が一紛失しても、母子手帳に場所と期間だけでも書いてあれば、最低限の情報が残りますね。
サポートブックの活用
岐阜市では、上記のようなことを、1冊のノートにまとめるために、岐阜市サポートブックを用意しています。
ホームページからワードファイルでダウンロードでき、電子データなので、どんどん書き足していくことができますので、電子ファイルは便利です。
岐阜市サポートブックとは・・・
データなので、書いたら、その都度印刷して残しておくと、ファイルが消えてしまうなどの時にも安心ですね。
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