イヤイヤ期の2歳児への接し方 | 子どもの目線で「なぜ嫌なのか」を考えてみる
「あれもイヤこれもイヤ、親の言うことを全然聞かない……!」
これが俗に言う、子どもの‟イヤイヤ期”。
2歳ごろからイヤイヤを始める子どもが多いため、「魔の2歳児」と言われることもよくあります。
「イヤ!」「買って!」「抱っこ!」「まだ遊びたい!」
こうしたイヤイヤ期の2歳児の主張を、大人の視点だけで考えると、‟単なる度の過ぎたワガママ”としか受け止められず、親・子ども共にツラいものがあるかもしれません。
時には子どもの視点に立って、様々なイヤイヤを言う理由を考えてみると、子どもへの接し方やイヤイヤ期自体の受け止め方が変わります。
2歳頃の子どもは、今までママやパパにやってもらっていたことを、これから自分でやる・チャレンジするという発達段階にいます。
いろんなことに興味が出て、何でも自分でやってみたくなるのが2歳頃の子どもなのです。
まだうまく“できない”ことでも、「自分でやりたい!」と思うからこそ諦めずに練習し、そのおかげでいつかは“できる”ようになります。
毎日、うまくいかないことがどうしたらうまくいくのか、繰り返し失敗しながら考えているのでしょう。
「できないことをやりたがるけれど、結局やらない……」など、大人には矛盾しているように思える2歳の子どもの言動には、「やりたいけどできない、それでもチャレンジしたい!」という、子どもなりの葛藤が、影響しているんですね。
「イヤイヤ期の2歳児の視点に立ってみる」と言われても、いまいちピンとこないかもしれませんね。
ではまず、大人都合の時間に合わせてもらうために、子どもに「~~しなさい」「~~をやめなさい」と言っていないかどうか、考えてみましょう。
大人であれば、「周りがそうだから」「人の迷惑だから」と納得できることでも、子どもの場合は、そうはなりません。
2歳の子どもは、まだ自分のことしか目に入らない発達段階で、「自分にとってどうなのか?」ということしか、理解できないのです。
そのため「大人の都合は、子どもには通用しない」と、思っておいたほうが無難です。
例えば、積み木遊びができるようになったばかりの2歳児。
「ご飯を食べてくれない」、または「遊びを切り上げてご飯を食べてほしい」と思っているときは、子どもに声をかける前に、「それが大人の都合なのか? それとも、子どもが受け入れられることなのか?」を、子どもの目線で考えてみるといいですよ。
たとえば、こんな場合はどうでしょうか。大好きな積み木で遊び始めて、まだ10分足らず。
積み木を積んだり崩したりして何度もチャレンジしているところへ、ママが「ご飯を食べなさい!」と言ってきた。
それは子どもにしてみたら、「まだ遊び始めたばっかりなのに、何でそんなこと言うの!?」と、感じてしまいますよね。
子どもが「言ったことをやってくれない……」と思い悩んだときには、上記の例のように、大人都合で子どものやりたいことを中断させちゃっていないか、ちょっと一呼吸置いて考えてみることがいいですね。
子どもの目線から「イヤな理由」に寄り添ってみると、イヤイヤ期の2歳児によくある困りごとに、付き合いやすくなります。
以下で、少し例を挙げてみましょう。
公園やキッズスペースなどは、2歳の子どもにとって楽しくて仕方のない場所です。
先ほども述べたように、大人の都合で予告なく「帰るよ!」と言われることは、子どもにとって受け入れがたいものでしょう。
そのため、子どもが遊び始める前に「15時まで遊ぼうね」と先に帰る時間を言ったり、遊んでいる途中であれば「すべり台、あと3回すべったら帰ろうね」と声をかけたりして、帰る心の準備をさせてあげましょう。
いきなり遊びを終了させられるよりは、子どもにとってのショックが少なくなると考えられます。
もちろん「15時に帰ろうね」「うん!」というやり取りがあっても、いざ15時になったらやっぱり「帰りたくなーい!」と泣かれてしまうこともあるでしょう。
そんな時まで「どうして言うことを聞いてくれないの……?」と思い悩むと、今度はママ・パパに負担がかかりますよね。
ですから、とりあえず抱き上げて「嫌だねー、でも帰ったらご飯だよー」と優しくなだめながら、あっさり帰ってもいいと思います。
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ご飯を食べない子どもにも、様々な状態があります。
ここで取り上げるのは、「保育園や幼稚園でのご飯は食べるし、別に嫌いな食べ物が出ている訳でもないけどご飯を食べない2歳児」の話です。
そもそも、何か別のことで遊んでいる、それも“今始めたばかり”の子どもが食事に興味を持たないのは、「2歳の子にとっては普通」と言ってもいいくらいに、とてもよくあることです。
お腹が空いていても気付かず、遊びに夢中になるのは、2歳くらいの子どもの「あるある」なんですね。
(別の理由として、お菓子をつい食べすぎたということもあります。)
「‟今は”ご飯を食べたくないんだ!」と、頑なな2歳児にご飯を食べさせることは、正直なところ非常に難しいのですが、1つ試してみるとよい工夫があります。
それは、家族みんなで食卓につくことです。
例えばよく聞くのは、「パパがいる時はワガママ言わずに座る」、「保育園の給食はイヤイヤ言わない」というケース。ママと子どもの2人きりの空間でだけ、素直にご飯を食べない状態です。
こうした状態が起こる理由の1つに、2歳の子どもが抱く“させられる感”が関係しているように思います。
2歳の子どもは、自分ではまだ様々なことをうまくできない時期なので、普段から周りの大人に「あれしなさい」「これしなさい」と、言われることが多い時期です。
子どもからしたら、いつもママに注意される立場。「いつも自分だけが、ママの都合に合わせている」とも、思えてしまいますよね。
そんなときは、お子さんがママに合わせるのではなく、「家族みんな一緒にするんだよ」という雰囲気を作ることで、親から“させられる感”がやわらぎます。
例えば、特別に遅くなる日以外、パパが帰ってきてから晩ご飯にするなど、試してみる価値があるかもしれません。
子どもには子どもの、「イヤ!」という理由があるんですね。
子どもの立場になって考え、2歳の子どものイヤイヤを上手に減らしていくと、イヤイヤ期の子育てが少し楽になりますよ。
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子どもとまだ外に出たばっかりなのに、突然歩くのをやめて「抱っこ!」としか言わなくなることも、イヤイヤ期の2歳児にはよくありがちです。
両手に荷物を抱えていたり、長時間の抱っこはさすがに無理だったりして「もうちょっと頑張って歩いてほしい……!」という時に、ただ「ワガママ言わないで!」「ちゃんと歩いて!」と叱ると、逆に意地になって歩いてくれないかもしれません。
結局抱っこすることになるとしても、少しでも子どもの足で頑張って歩いてもらうなら、「いいよー、でもあそこの電柱まで頑張って歩いてみない?」と交渉してみましょう。
先ほどにも述べたように、ワーワーと嫌がられることが面倒で、「はいはい」と何でも子どもの要求をのんでしまうと、イヤイヤ期がひどくなったり長くなったりして、決して子どものためにはなりません。
いったん子どもの主張を受け止めた上で、「~~したら、~~しようね」という妥協案を出してあげることが、イヤイヤ期の始まった2歳児とのコミュニケーションのコツだと思います。
2歳ごろの子どもは、こういう経験を通して「自分の意見だけが通るわけでは無い」ということを学んでいき、人と折り合いをつけることを習得していく時期なのです。
「うちの子も2歳だけど、イヤイヤ期はたいしたことないなぁ……」という話を聞くと、「うらやましい」とか、「うちの子もイヤイヤ期がなければな……」などと、思ってしまいがち。
確かに、2歳から始まることが多いイヤイヤ期は、ママ・パパにとって本当に大変です。
子育ての大きな“壁”の1つだと言っても、過言ではないかもしれません。
しかし、「イヤイヤ期がない=いい」、「イヤイヤ期がひどい=悪い」という訳では決してないのです。
「イヤ!」とハッキリ言葉や態度で示すのは、子どもに「~~したい(したくない)」という意思が生まれていること、つまり心が発達していることのあらわれでもあります。
何を言っても「ヤダヤダ!」と聞かなくて、心の折れる日もあるかと思います。
まったく子どもが言うことを聞かない日には、ついイライラしてしまっても、あるいは叱りすぎてしまってもしょうがないですが、‟つたないながらも少しずつ子どもの心が成長している”ことだけは、忘れないでいてあげたいですね。
反対に、子ども自身の気持ちが十分に満たされていたり、あるいは本人の性格によって、「2歳なのにイヤイヤ期がない子ども」もいます。
ただ、言葉や発達などの遅れがあり自我が発達していないために、イヤイヤ期が遅れてしまっていることもあります。
言葉や発達などの遅れがあって、子どもが「イヤ」と言えない可能性があるなら、子どもへの声のかけ方や、子どもらしい遊びの時間を十分にとってあげているかなど、子どもとの関わり方を見直してみるとよいですよ。
⇒ 2歳や3歳の幼児期の言葉(遅れや出ないなど)で見直したい関わり方
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