自閉症の子どもの「おもちゃを並べる」こだわりはいつまで?並べるから遊びに変わっていくまで
自閉症の子どもは、おもちゃで遊ぶとき、そのおもちゃらしい遊び方をしないで、ただひたすら横に並べて眺める、という、独特の遊び方をすることが多いです。
自閉症の子どもは、なんで物をおもちゃを横に並べたがるのでしょうか?
それは、自閉症の子どもの特徴とよく関係しています。
自閉症の子どもは、人への関心が薄いため、人の模倣(まねをすること)が苦手です。
それで、他の子どもがおもちゃで遊んでいても、自閉症の子どもが他の子のやっていることに興味を持って見ないために、遊び方がなかなか覚えられません。
また、自閉症の子どもが他の子どもの遊んでいるところを見ていたとしても、どうやっているのか、なんでなのか、などを理解するのが難しいという、自閉症の子どもの理解力の問題もあります。
おもちゃの箱に、おもちゃの遊び方の写真が載っていても、小さいうちは、写真が実際のものと同じだということに気づかないこともあります。
そうやって、想像したり理解したりすることが難しい自閉症の子どもは、並べる、という、どのおもちゃでも出来る単純な遊びで、自分なりの遊び方をします。
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そして、そんな風に、理解が苦手であるがために、はじめてのことに強い不安を感じる自閉症の子どもも多いです。
それで、自閉症の子どもは、変化を好まない自閉症の子どもは、同じことや規則性によって、安心して気持ちが安定するのです。
自閉症の子どもは、わからないことを理解しようとするのではなく、今までの自分のやり方や規則性に頼ります。
それが、自閉症の子どものこだわりで、並べることは、自閉症の子どものこだわりの1つです。
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ですから、自閉症の子どもが並べて遊んでいるのを禁止してしまうと、自閉症の子どもは、安心して遊ぶことが出来なくなってしまいます。
遊びを進めていくにも、自閉症の子どもの気持ちに寄り添いながら、無理なく少しずつ出来ることを増やしてあげることが大切です。
自閉症の子どもが、並べてばかりで遊ぶと、本来の遊び方が出来なくて、いつまでも年齢相応の遊び方や想像力が身につかないことがあります。
そして、ママがお子さんを遊びに誘っても、自閉症の子どもは並べたおもちゃを触られるのが嫌で、結局「一緒に遊べない」ということにもなってしまいます。
並べる遊びは悪い事ではありませんが、遊びに発展が無いので、他の遊びに発展させると良いですね。
その方が、同年代の子ともと一緒に遊べるようになります。
同じように、自閉症の子は、自分のやり方にこだわる、人の真似をしようとしない傾向にあります。
人間の子は、ほぼ何も出来ない状態で生まれて、人の真似をして成長していきます。
自閉症の特徴である、「人の真似が少ない」のが子どもの発達の遅れになり、
それによって同年齢の子と比較して本人が手助けを必要とすることが想定されるために、
自閉症と言う診断がなされます。
つまり、自閉症かどうか、という以前に、
人間の子どもが大人になるには、発達が必要であり、
そのためには、真似をしていく力が必要地という事です。
マネをしないのは、本人の特性もあるでしょうが、
そもそも兄弟がいないからおもちゃの正しい遊び方を知らなかったなどの場合もあります。
今は、兄弟が少ない時代ですから、その分、親が遊び方の見本を示してあげる事が大切です。
自閉症の子どもの好きな並べる遊びから、人と関わって一緒にする遊びに発展させるには、このようにするとよいですよ。
一人で並べるのではなく、手渡す役、並べる役、と役割分担し、「頂戴」と手を差し出させてから「はい、どうぞ」と渡す方法です。
また、ドミノ倒しのように、並べて、「じゃあ、倒すよ、それ~」と言って倒すなどの遊びもできます。
自閉症の子供の好きな「並べる」、ということをそのまま利用しながら、人とのやりとりを入れて、楽しめるように、少しだけ変化をつけた遊び方ですね。
自閉症の息子は、病院の作業療法では、大きなブロックを渡してもらい、それを並べてくる、並べたもので遊ぶ、という中で「ちょうだい」「どうぞ」のやりとりの練習もしました。
並べる、とは少し形が違いますが、規則通りにきちんとやる、ということで、自閉症の子どもが好きな遊びが「パズル」です。
パズルは形や絵を理解する、という知育遊びで、自閉症の子どもの理解力を伸ばすにはとても良い遊びです。
パズルは形の認識や絵柄を意識する、全体と部分の関係を認識するという様々な脳のトレーニングになります。
特に、自閉症の子どもは、全体を見る力が弱く、部分に捕らわれて全体を把握できていないことも多いので、パズルで鍛えると良いですね。
自閉症の子どもは、紙をやぶったり、口に入れたりすることも多いので、最初は木で出来ているような分厚くてしっかりしたパズルから始めるのがおすすめです。
ピースが少なくてわかりやすいもの、興味が持てる絵柄から始めると良いですね。
慣れてきたら、徐々にピースが多い、紙のパズルに移行していくことができますよ。
自閉症の子どもは、出来ることが増えてくると、並べることも、こだわりも、徐々に減っていきます。
自閉症の子どもの並べることと近いことで、生活に必要なことは「お片付け」です。
おもちゃを決まった箱に分類したり、規則的に棚に並べることは、意外と得意です。
片付ける箱に、おもちゃの写真を貼ってあげたり、棚のそれぞれの置き場に、おもちゃの写真を貼ってあげましょう。
そして、毎度、おもちゃと写真を見比べながら片付ける習慣をつけると、自閉症の子どもは、しっかりとそのルールを守ってお片付けをしてくれますよ。
最初、教えるまでには時間がかかりますが、「お片付け」は「並べること」に似ていて自閉症の子どもが得意なことなので、きっと覚えてくれると思います。
お子さんを信じて、気長に教えていくと良いですね。
自閉症の子どもの並べることは、いつまで続くの?って思いますよね。
自閉症の子どもの並べることは、年齢とともに変化します。
私の息子はこんな風でした。
1歳の頃の息子は、「並べる」遊びはまだしていなくて、「積む」ことに興味がありました。積み木を積んでは倒して、繰り返し遊んでいました。
自閉症スペクトラムの息子が1歳の頃の特徴
自閉症の息子は、2歳の頃は、児童館のフロアマットにハマっている数字をはずして並べることがよくありました。
数字が好きで、自閉症スペクトラムの子ども特有の並べて遊ぶことも大好きでした。
2歳で自閉症スペクトラムの中度と診断された当時の息子の特徴はこんな風
自閉症の息子が3歳の頃も、並べる遊びは好きでした。
DVDのケースを並べたり、ミニカーを並べたりしました。
でも、積み木の積み方を工夫して遊べる、などの遊び方も少しずつ増えていきました。
この頃は、家でも、粘土遊びをよくしました。食事のお手伝いもしてもらいました。
保育園にも入っていたので、並べる以外の遊びもよくするようになりました。
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自閉症の息子が小学生の頃は、足し算の練習のために買った教具のおもちゃを、自分の好きなように並べるのが好きでした。
他の遊びをしていても、途中でちょこちょこ抜け出して、並べ替えては、また他の遊びに戻っていく、ということも多かったです。
また、寝る前も、これを並べ替えて落ち着いて一日が終わる、という日課でした。
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年齢とともに、並べる物は違いますが、やはり、いくつになっても自閉症の息子にとって「並べること」は安心するようです。
また、自閉症の子どもの遊べることや出来ることが増えるに従って、並べることは目立たなくなっていきますよ。
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