クレーン現象とは なぜ手を引っ張るのか 発達障害や自閉症の子がクレーンから言葉へ発達するための関わり方
クレーン現象とは、大人の手を物に近づけて、自分の要求を叶えようとすることで、言葉が出ない・遅い、発達障害や自閉症の子どもによくあることですが、幼児期の子どもは障害が無い子にも見られます。
バナナを剥いてほしい時に、ママにバナナを差し出すのではなく、クレーン現象でママの手をバナナの皮に近づけたり、
物をとってほしい時に、取ってほしい物に手を伸ばしたり指差しするのではなく、クレーン現象でママの手をそっちへ近づけようとしたりします。
クレーン現象の種類には、次のようなものがあります。
大人の手を持って行き(クレーン現象)、ジュースなどを注いでもらおうと、ジュースに大人の手を近づける。
大人の手を持って行き(クレーン現象)、皮を剥かせようとしたり、蓋をあけさせようとして、大人の手を果物や蓋に近づけようとする。
大人の手を持って行き(クレーン現象)、取ってほしい物に近づけようとする。
大人の手を持って行き(クレーン現象)、絵を指差しさせようと、大人の手を絵本やカードに近づける。
大人の手をクレヨンの方へ持って行き(クレーン現象)、色を塗ってほしいと要求をしめす。
大人の手を折り紙の方へ持って行き(クレーン現象)、折り紙を折ってほしい、作ってほしいと要求をしめす。
大人の手を粘土の方へ持って行き(クレーン現象)、粘土で作ってほしいと要求をしめす。
大人の手を積み木の方へ持って行き(クレーン現象)、積み木を積んでほしいと要求をしめす。
大人の手を行きたい方へ押して(クレーン現象)、あっちへ行こうと要求する。普通は、自分の体が先に進行方向へ進み、うしろにいるママの手を引っ張るが、クレーン現象の場合は、自分たちは後ろにいて、手だけ前へ進めようとしたり、ママの身体を押したりするため、不自然に見える。
クレーン現象が自閉症や発達障害の子どもに多い原因の1つ目は、自閉症や発達障害の子どもの視野が狭いために、自分の要求を叶えてくれる「大人」が目に入らず、叶えている「手」のみが目に入るからです。
そして、2つ目は、自閉症の子どもは言葉が遅い事例が多く、言葉や指差しなどの手段で要求出来ないために、自分の要求を叶える手段として、大人の手を直接動かそうとするために、クレーン現象をします。
よって、お子さんがクレーン現象で要求してきたら、まずお子さんの目線の高さに合わせて、お互いの目を見てお互いを認識し合うこと、目を合わせることが大切です。
そして、クレーン現象を卒業するために、必要な言葉や指差しを教えていくことが大切です。
このように、自閉症や発達障害の子どもに、クレーン現象が多いですが、定型発達の子どもでも、クレーン現象をすることがあります。子どもの発達が心配なときは、市の子ども相談センターへ相談しましょう。
クレーン現象は人に伝える手段の為、自閉症の子どももクレーン現象ではなく言葉で伝えられるようになると、クレーン現象は自然と無くなって行きます。
また、言葉で伝えられないままでも、運動能力や手先の能力の向上によって人に頼まなくても自分で出来るようになった場合も、クレーン現象は自然と無くなって行きます。
高い棚の上の物も椅子を使って自分で取れるようになったり、硬い瓶の蓋も自分で開けられるようになった場合などです。
クレーン現象は、人にやってもらうときに言葉の代わりにお願いするための手段の為、人に頼む必要が無くなれば、クレーン現象も無くなって行くというわけです。
自閉症の子どもでクレーン現象をしない場合、2つの発達段階が考えられます。
1つ目は、クレーン現象より前の、自分の気持ちや要求がまだ無い・分からない発達段階のとき、こういう場合は、おとなしく従順で、癇癪を起すことも少なくて穏やかだけれど、自分ではあまり何もしようとしない事が多いです。
自閉症の子が発達していくように、着替えや食事・遊びなど、少しずつ自分で出来る事を増やしていくと良いです。
自立していくことで、自我が芽生え、やりたいことが出てきて、要求の気持ちが育ちます。すると、クレーン現象で要求するようになります。言葉が出てくるのは、クレーン現象の後のことが多いです。
2つ目は、クレーン現象より後の段階、すでに言葉で伝えられるようになった発達段階で、クレーン現象がもう必要ない発達段階です。こういった場合は、クレーン現象はもう無いです。それで問題ないので、しっかりと言葉でコミュニケーションを続けていってくださいね。
自分の要求や気持ちを言葉で伝えられるようになれば、クレーン現象はなくなっていきます。
そうすると、癇癪もなくなるし、幼稚園などの集団生活も安心できます。
クレーン現象から言葉に変えていく方法を、以下でお伝えしたいと思います。
お子さんがクレーン現象で要求した時、お子さんの目線の高さに合わせて目の前に座ります。
そして、お子さんの目を見て「来て」と言って見本を見せ、オウム返ししてもらいます。
それから、手をつないで一緒に、目的の所へ行くようにしましょう。
そこでお子さんがお母さんの手をクレーン現象で、取ってほしいものに近づけようとしますよね。
そうしたら、「取って」と言って見本を見せ、言えるならまねして言ってもらいます。
それから、取ってあげてください。
まずは、お子さんの気持ちを代弁して、オウム返しで良いので、その場にあった正しい言葉を言えるようにしてあげましょう。
クレーン現象ではなく指差しで伝えられるように、その時に、お子さんの手で指差しの形を一緒に作ってあげると良いですね。
この積み重ねによって、要求を叶えるためには、クレーン現象の他に、どんな行動や言葉をすれば伝わるのか覚えていきます。
ちょうだい、と手を差し出す事や指さしすることなどを教えていきましょう。
【保育士監修】お役立ち情報>クレーン現象から言葉を引き出そう!
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そんな私が息子から言葉を引き出し、会話ができるようにしていった経験をもとに、言葉の遅れに悩むご家族300組をサポートしてきた方法を、保育士監修の無料メール講座でお伝えしています。
たとえクレーン現象でも、お子さんも、要求を伝えようと頑張っています。
伝えたい気持ちがあるって素晴らしいこと、それを言葉に変えていってあげると、もっと伝わります。
言葉が出てくると、癇癪や奇声も減り、育てやすくなりますよ。
<お役立ち情報>
発達障害や自閉症・言葉が遅い子どもを育てるための情報をまとめています。
言葉、遊び・お勉強、人との関わり、指先・運動、身の回りのこと、などに分けて、具体的な関わり方を書いていますので、是非参考にしてくださいね。
療育にはどんな種類があるの?言語療法って何をするの?自閉症の診断ってどんな意味があるの?お耳の検査って何するの?そんな疑問に1つずつお答えしていますので、わからないことがある方は是非、チェックしてみてくださいね。
自閉症の息子の育児ブログはこちら(0歳から幼児・小学生まで)
家での様子、保育園での様子や小学校での様子、先生方が工夫してくださったこと、お薬の話、など、年齢ごとにまとめていますので、参考にしてくださいね。
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