イヤイヤ期がないので逆に不安なママ・パパへのアドバイス | はぐくみたい「選ぶ意思」
“魔の2歳児”と形容されることからも知られているように、イヤイヤ期が始まった子どもとのコミュニケーションに骨を折る親はたくさんいます。
しかしその一方で、「あれ、うちの子どもにはイヤイヤ期がない?」と親自身が感じたり、お友達のママや親戚から言われて気付いたりするパターンだってあります。
イヤイヤ期がなければないで、別の不安が生じてきてしまう……今回の記事は、そんなママ・パパに向けたアドバイスです。
ネットニュースや知恵袋からは、子どもにイヤイヤ期がないこと“自体”を、親がこわがっていたり、不安に思っていたりすることを感じ取れます。
“イヤイヤ期がない子どもがこう育った……”などと目に入れば、誰だって「え、うちの子は大丈夫……?」と不安になってしまいますよね。
しかし、「子どもにイヤイヤ期がない=ダメだ」ということはもちろんありません。
というのも、親が気付いていないだけで、子どもはちゃんとイヤイヤ期に入っているケースも多いからです。
子どもが「イヤ!」と言いたい、その気持ちに親がうまく対応できた時は、子どもは泣き出したり駄々をこねたりする(=誰の目にも「イヤ!」という気持ちが分かる)所まで、激しいイヤイヤをする必要がないですよね。
子どものイヤイヤにうまく付き合うことに慣れた結果、自分の目にも他人の目にも、イヤイヤ期がないように映っているだけなのかもしれません。
誰かからもし「○○ちゃん、イヤイヤ期がないのね」と言われて、それが暗に(……けど大丈夫?)という意味に聞こえてしまったとしても、親と子ども自身のコミュニケーションがうまくいっているなら、そのままでいいのではないでしょうか。
イヤイヤ期が「ある」もしくは「ない」を、必要以上に気にする必要はありません。
では、「子どもが態度や言葉で分かるようにイヤイヤしないことを、まったく気にしなくてもいいのか?」というと、それも少し語弊(ごへい)があるでしょう。
もしも子どもにイヤイヤ期がないうえで、「子どもとの意思疎通がうまくできていない……」と感じられるなら、子どもが自分の意見を持てるところまで発達していないこと、もしくはその意見を表せる言葉が遅れていることも、可能性としては考えられます。
イヤイヤをしない理由が“言葉の遅れ”の場合、家庭でのコミュニケーションの工夫で、言葉が増えていけば、そのうちハッキリと嫌なことは「イヤ!」だと言えるようになるかもしれません。
イヤイヤ期が、世間一般的に言われている年齢(2歳前後)より遅くくる子どもの中には、そういう子もいるでしょう。
⇒ 【保育士監修】2歳言葉が出ない3歳片言・言葉が遅いと気づいた時に見直したい関わり方
⇒ ことばの遅れとおとなしいや無口との違いって何?ことばが遅れると何が困るの?
逆に、先述した“子どもが表立って「イヤ!」と言わなくてもいいコミュニケーション”が、親子間で自然と構築されている場合は、言葉が増えてもイヤイヤ期は目立たないままかもしれません。
子どもの成長を踏まえて、できれば小さいうちから変えていきたいのは、子どもが親に「イヤ」と言っても通じないと思っているから、「イヤ」という意見を持たないし「イヤ」と伝えもしない状況。
上記のような状況では、親はどんなことをしてあげられるでしょうか?
項を改めて、解説していきます。
「子どもにイヤイヤ期がないと思っていたけど、実はいつも親の都合に付き合ってくれているだけだった……」ということも、よくお聞きします。
子どもがイヤと言わず、素直に親の言うことを聞いてくれる時こそ、“そもそも子どもに今、選択の余地はあるのかな? イヤと断れる状況にあるのかな?”と、考えてあげたいです。
例えば、普段の子育てに協力してくれる人がおらず、ママあるいはパパ1人で、2人の兄弟(姉妹)の面倒を見ている場合。
弟や妹は、お兄ちゃん・お姉ちゃんなど、周りをよく見て育ちます。
そして「ワガママは言わないほうがいい」「言うことを素直に聞いたほうがいい」と気付くと、弟・妹が大人の都合に無難に付き合ってくれる状況に、よくなりがちなのです。
上記のように、「子どもがイヤだと言わないために気付けなかったけれども、よくよく考えてみると無理をさせていたかも……」というお話は、結構多く耳にします。
本当は選びたいけど、無理をして選ばないようにしてしまう……ということがないように、子どもに選択の余地をあたえる機会を、できるだけ多く作ってあげたいです。
大人が子どもの意見を聞かずに、何でもかんでもじゃんじゃん決めてしまうと、子どもは自分で考える力や、自分で決める力を育みにくくなります。
子どもが間違いなく喜ぶと思って、「コッチのほうが楽しいよ」「コレがおいしいよ」と親が決めるのではなく、生活に支障がない範囲のことは子どもに選ばせてあげる習慣をつけるほうが、子ども自身の意思を育むうえでは良いのでしょう。
お菓子やオモチャ、遊びに行く公園を選ぶ時などは、子どもの意見を聞いてあげましょう。
子どもの希望に答えられるのか、答えられないのかは別にして、「ママ・パパはあなた(子ども)の意見を聞くよ」と分かってもらうことが大切です。
先述したように、実際はイヤイヤ期があるのか・ないのか自体は、一概に良い悪いと決められる話ではありません。
それでも世間一般的に、「イヤイヤ期がない子どもは成長したら困る」などと、言われることが多いのは、幼い子どもが親に対して「どうせイヤって言ったって聞いてくれない……」と、思ったまま成長することに、問題があると考えられているからではないでしょうか。
“嫌”という拒否の気持ちも含め、「親に自分の意思が伝わりっこない」と思っている子どもは、思春期くらいまで成長したとき、親を信頼しづらくなります。
例えばこのような感じで、自分の気持ちにフタをしてしまうことが多くなってしまう傾向を、持ってしまうのです。
自分の意思を表す力が未熟なままで、大人に成長した子どもは、「人の顔色をうかがってばかりで価値基準が自分にない」「人に決めてもらわないとできない」など、自分の人生を充実させていくうえで必要なことが不得意に……。
“イヤイヤ期がない”ということと、“大人になったら困る”ということは直接結びつきません。
しかし、“自分の意思を持たない(持てない)”ことは、大人になったら困るかも……と思うのです。
以上、「子どもにイヤイヤ期がないことが不安……」というママ・パパへ向けた、アドバイスでした。
繰り返しになりますが、イヤイヤ期がない=成長によくないということはありません。
普段のコミュニケーションがうまくいっているのであれば、「子どもが自分の気持ちを押し殺しているのでは……」と、過度に心配をする必要はないと思います。
ただ、親が子どもの意思・意見を聞く姿勢を、子どもに物を選ばせる(それを認めるかどうかは別として)習慣を通して伝え続けることは、大事だと思います。
「子どものイヤイヤ期が大変すぎる!」というママも、「ぜんぜんイヤイヤ期がなくて正直ラク」というパパも、普段の子どもとのやり取りで、大人の視線で子どものことを決め過ぎている時がないか、少しだけ意識してみてくださいね。
【子どもの言葉や発達の遅れが心配なママへ】
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