オウム返し・エコラリアは自閉症?オウム返しを卒業し会話に変えるには【保育士監修】
オウム返し(エコラリア)とは、まわりの人が言った言葉をそのまままねして言う事です。
オウム返しがあると、発達障害?自閉症?なんて心配になりますよね。
オウム返しは、1歳~2歳頃の言葉を獲得する時期によく見られ、定型発達の(発達障害や自閉症でない)子であってもあります。
この時期が、子どもによって遅い時期に現れたり、期間が長かったりするので、心配になったりします。
自閉症かどうかを気にされる場合は、自閉症の他の特徴に当てはまるかどうかも、お子さんを観察してみると良いですよ。
・オウム返しをするなどの言葉のおくれや会話の不自然さのほかに、
・おもちゃなどの物を並べるなどこだわりがある、
・目が合わないなどの対人関係の不自然さ、
・つま先歩きのように感覚統合がうまくいっていなかったり、感覚過敏など、感覚が定型の子と違う
など、他の特徴も当てはまるのかどうか、子どもを観察し、気になる場合は病院の診断を受けてみるのも良いですね。
ただ、病院で診断を受けて、自閉症であったとしても、そうではなかったとしても、今オウム返しがあることに変わりはありません。
どうしてオウム返しをするのか、その原因を知って、対処してあげることで、オウム返しを会話に変えて、コミュニケーションが出来る子に育てることが出来るます。
オウム返しをする時期は、言葉を覚えようとしている時期、この時期の関わり方によって、お子さんのこれから先の言葉が伸びるか、今のままか、が変わります。
是非、関わり方を身に着けて、お子さんの言葉の力を育ててあげてほしいと思います。
まずはじめに、オウム返し(エコラリア)には、次のようなものがあります。
オウム返しのうちの、即時エコラリアとは、大人から質問された時に、質問をそのまま繰り返したりします。
「~する?」と聞いたときに「~する?」と語尾上がりになったり、「なんで?」と聞いた時に「なんで?」と答えてしまう事、などです。
オウム返しのうちの、遅延エコラリアとは、その場で言われたことではない言葉を繰り返しいう事です。
たとえば、次のようなことがよくあります。
・特定の歌のフレーズばかり繰り返し歌う、
・CMのセリフをしつこく言い続ける、
・人が質問をしているのに、その質問にふさわしくない、自分が好きなセリフでこたえる、
・親に言われた言葉「早くしなさい」「お箸の持ち方は?」などを関係ない場面で繰り返し言う
などです。
即時エコラリアのオウム返しで、質問をそのまま繰り返す原因は、質問の意味が意味が分かっていない場合が多いです。
質問の意味を教えていく必要があります。
質問の意味が分かるようになり、質問に自分の言葉で答えられるようになると、即時エコラリアは無くなっていきます。
即時エコラリアのオウム返しが出て、質問が答えられない子どもには、質問に選択肢(答えの見本)を付けてあげると良いです。
「何が欲しい?みかん?すいか?」という風に、2択で聞きます。
即時エコラリアのオウム返しで複数の答えの見本をそのまま言ってしまう場合は、答えを1つにして聞きましょう。
「何が欲しい?みかん?」という風に、選択肢を1つにして聞きます。
物を見せながら聞くと、さらにわかりやすいですね。
即時エコラリアのオウム返しで、語尾上がりの質問に語尾上がりでこたえる子には、再度語尾下がりの見本を言って、オウム返ししてもらいましょう。
母「何が欲しい?みかん?」、子「みかん?」、母「みかん」、子「みかん」
という風に会話します。
即時エコラリアのオウム返しが出る子どもには、分かる言葉で繰り返してあげたり、分かる言葉で、再度、聞きなおしてあげましょう。
また、即時エコラリアのオウム返しがあるから、といって、分からない質問を避けていると、いつまでたっても分かるようにならないので、分からない質問は繰り返し聞くようにし、その答えの見本を言って、質問の意味を理解させることが大切です。
1つずつ、分からない質問を分かるように教えていく事が大切です。
<質問の意味が分からない時の対処方法>
お客様の事例では、語尾上がりの質問をそのまま真似して言う事例もよくあります。その場合は、質問をされているということもまだ理解していない発達段階になります。
息子が喋り始めた頃のオウム返しの特徴は、選択肢をそのままオウム返ししていました。
母「どっち?」息子「どっち?」母「こっち」息子「こっち」
このように、質問されていることの意味が分からないためにオウム返ししている場合は、物を交互にお子さんの前に見せながら「どっちだべる?みかん?」などのように1問1択で聞いてあげると良いです。
<質問の意味が分かったり質問によって分からない時の対処方法>
質問に答えられるバリエーションが増えると、分かる質問には答えるけれど、分からない質問にだけオウム返しするようになりました。
たとえば、「何食べる?」「どこ行きたい?」などのはっきりした質問には言葉で答えるけれど、「どうしたの?」のような漠然とした質問には「どうしたの?」とオウム返ししてしまう時期がありました。
「どうしたの?」の意味が分からなかったんです。
このような、分からない質問についてのオウム返しの対処方法は、
答えの選択肢を与えるか、分からない質問と分かる質問をセットで質問すると良いです。
息子は「なあに?」と聞けば答えられたので、「なあに?どうしたの?」と、セットで聞くようにしました。
すると、2週間ほどで、「どうしたの?」という質問にも、即時エコラリアが無くなり、「なあに?」という質問と同じようにこたえられるようになりました。
遅延エコラリアのオウム返しも、特定の気に入ったことをやり続ける、とみなせば、それは幼児期の子に、多かれ少なかれあることです。
相手にしすぎると、エコラリア・オウム返しが極端に増える事もあるので、そっとしておくことも必要です。
でも、オウム返しを無視すると癇癪(かんしゃく)を起こしてしまう子の場合、子どもが喜んでいることに、共感する態度をとってあげることも必要になります。
オウム返し(エコラリア)が多い子の場合、一人で上手に遊べなかったり、絵本が上手に読めなかったり、他の遊びが上手に出来ないため、特定の言葉による一人遊びをする子どもも多いです。
出来る遊びの種類を増やしてあげることが大切です。
遊びたい、用事があるのに、必要な言葉が言えず、他の言葉で言う事があります。
遊んでほしい、構ってほしいときに、適切な言葉が出ずに、不適切な特定の言葉が遅延エコラリア・オウム返しとして出ることがありました。
その場で、「あそんで」と見本を言って、オウム返ししてもらい、「遊んで」と言えるようになりました。
特定の言葉のオウム返しを母に期待し、母がオウム返しをしないと癇癪を起こしました。
パーソナルプログラムで、母がオウム返しをする前に「・・・と言って」と言う言葉の見本を言ってからオウム返しをするようにしました。1ケ月で言えるようになり、癇癪(かんしゃく)もしなくなりました。
上記の事例のなかにも、「なぁに」という質問を教えるのに毎日教え、半年かかったお子さんがいらっしゃいますよね。
このように、まだ何も質問にこたえた事のない子が質問を覚えるときには、時間がかかります。
だからといって、子どもがオウム返しするから、と、子どもの分からない言葉をそのままにしておくと、いつまでたっても、質問の意味も分からない、答えられない、という事になります。
子どもは、生まれながらに、言葉を知って生まれてきません。
自分が大人に言葉を話しかけられて、質問をされて、それで身に付けていくのは、定型発達の子も発達障害の子も同じです。
子どもの出来ない事から目をそらさずに、できるようになることを考えてあげたいですね。
質問の意味が分からないからオウム返し(エコラリア)をする場合は、質問の意味が分かるまでオウム返しが続きます。
「いつになったらできるのだろう」と思ってしまうと気が滅入るので、「きっと、聞いててくれる、これが頭の中に蓄えられている」と信じて、話しかけていく事が大切ですね。
子育ては長いですから、気長に楽しくやっていきましょうね。
まずは、オウム返しでもいいので、言葉の意味や会話の趣旨を理解していくことが大切です。
そろそろ、質問の意味や自分の言うべき言葉はもう分かってきただろう、と思ったら、ママが2択などを出すのではなく、「なんていうの?」と聞いて、言うべき言葉の最初の一文字をヒントで言ったり、動作や写真などをヒントとして提示していくと、オウム返しではなく、自分の言葉で言えるようになっていきます。
そのように、二択ではなく、自分で言わせる、そのためにヒントを提示することが、オウム返しを卒業するための練習方法です。
たとえオウム返しであっても、質問の意味を理解して、答えを言おうとするその姿を認め、褒め、温かく受け止めてあげてください。そうやってママがわが子をうけとめることで、子どもの心も大きく成長し、人とのコミュニケーションを楽しめる子に育っていきますよ。
私も同じように言葉が遅い・自閉症の子どもを育て、何年も子どもの癇癪やオウム返しに悩み続けました。
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