0歳児の赤ちゃん(乳児)から1歳にかけての発達の特徴
0歳の赤ちゃん(乳児)から1歳の幼児期にかけての発達の特性は、厚生労働省の2008年告示の保育所保育指針で、次のように示されています。
<厚生労働省告示の保育所保育指針より>
誕生後、母体内から外界への急激な環境の変化に適応し、著しい発達が見られる。
首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、腹ばいなど全身の動きが活発になる。
視覚、聴覚などの感覚の発達はめざましく、泣く、笑うなどの表情の変化や体の動き、喃語などで自分の欲求を表現し、これに応答的に関わる特定の大人との間に情緒的な絆が形成される。
<厚生労働省 2008年告示の保育所保育指針解説より>
【著しい発達】
子どもはこの時期、身長や体重が増加し、著しい発育・発達が見られます。 まさに一個の生命体として発達の可能性に満ちているといえます。
運動面に目を向けると、生後4か月までに首がすわり、5か月ぐらいから は目の前の物をつかもうとしたり、手を口に持っていったりするなど手足の 動きが活発になります。
その後、寝返りできるようになったり、腹ばいにす ると胸を反らして顔や肩を上げ、上半身の自由を利かせて遊ぶようになった りするなど、全身の動きが活発になり、自分の意思で体を動かせるようにな ります。
また、この時期の視覚や聴覚などの感覚の発達はめざましく、これにより、 自分を取り巻く世界を認知し始めます。例えば、生後3か月頃には、周囲の 人や物をじっと見つめたり、見まわしたりします。
また周りで物音がしたり、 大人が話している声がしたりすると、その音や声がする方を見るようになり ます。そして次第に、このような認知が運動面や対人面の発達を促していく のです。
【特定の大人との情緒的な絆】
生理的な微笑みからあやすと笑うなどの社会的な微笑みへ、単調な泣き方 から抑揚のある感情を訴える泣き方へ、様々な発声は大人と視線を交わしな がらの喃語へと、生まれながらに備わっていた能力が、次第に、社会的・心 理的な意味を持つものへと変わっていきます。
子どもが示す様々な行動や欲求に、大人が適切に応えることが大切であり、 これにより子どもの中に、人に対する基本的信頼感が芽生えていきます。
特 に、身近にいる特定の保育士が、応答的、かつ積極的に働きかけることで、 その保育士との間に情緒的な絆が形成され、愛着関係へと発展していきます。
<厚生労働省告示の保育所保育指針より>
座る、はう、立つ、つたい歩きといった運動機能が発達すること、及び腕や手先を意図的に動かせるようになることにより、周囲の人や物に興味を示し、探索活動が活発になる。
特定の大人との応答的な関わりにより、情緒的な絆が深まり、あやしてもらうと喜ぶなどやり取りが盛んになる一方で、人見知りをするようになる。
また、身近な大人との関係の中で、自分の意思や欲求を身振りなどで伝えようとし、大人から自分に向けられた気持ちや簡単な言葉が分かるようになる。食事は、離乳食から幼児食へ徐々に移行する。
<厚生労働省告示の保育所保育指針解説より>
【運動発達-「座る」から「歩く」へ】
この時期、子どもは座る、はう、立つ、つたい歩きを経て一人歩きに至り ますが、その時々にそれぞれの動きや姿勢を十分に経験することが大切です。
こうした運動面の発達により、子どもの視界が広がり、子どもは様々な刺激 を受けながら生活空間を広げていきます。
特に一人歩きによって、自由に移動できることを喜び、好奇心が旺盛にな っていく中で、身近な環境に働きかける意欲を高めていきます。そして、自 分が行きたいところに行かれるという満足感は更なる発達の原動力となって いきます。
【活発な探索活動】
子どもはこの時期、特定の大人との信頼関係による情緒の安定を基盤にして、探索活動が活発になります。
特に、座る、立つ、歩くなどの運動面の発 達により、自由に手が使えるようになることは、子どもが自ら触ってみたい、 関わってみたいという意欲を高めます。
様々な物に手を伸ばし、次第に両手 に物を持って打ちつけたり叩き合わせたりすることができるようになります。
また、握り方も掌全体で握る状態から、すべての指で握る状態、さらに親 指が他の指から独立して異なる働きをする状態を経て、親指と人差し指でつまむ動作へと変わっていきます。
全身を動かし、手を動かす中で身近な物へ興味や関心を持って関わり、そ のことにより更に体を動かし、探索意欲を高めていきます。
【愛着と人見知り】
6か月頃には身近な人の顔が分かり、あやしてもらうと喜んだり、愛情を こめて受容的に関わる大人とのやり取りを盛んに楽しみます。
そして、前期 に芽生えた特定の大人との愛着関係が更に強まり、この絆を拠りどころとし て、徐々に周囲の大人に働きかけていきます。
この頃には、初めての人や知らない人に対しては、泣いたりして人見知り をするようになりますが、人見知りは、特定の大人との愛着関係が育まれて いる証拠といえます。
【言葉の芽生え】
この時期は、声を出したり、自分の意思や欲求を喃語や身振りなどで伝え ようとします。
こうした喃語や身振りなどに対して、身近な大人が子どもの 気持ちを汲み取り、それを言葉にして返すなど、応答的に関わることで、子どもは大人の声ややり取りを心地よいものと感じていきます。
そして、徐々 に簡単な言葉の意味することがわかってくるのです。
このような大人とのや り取りが言葉によるコミュニケーションの芽生えとなります。
また、子どもは生活の中で、応答的に関わる大人と同じ物を見つめ、同じ 物を共有することを通し、盛んに指さしをするようになります。
自分の欲求 や気付いたことを大人に伝えようと指でさし示しながら、関心を共有し、そ の物の名前や、欲求の意味を徐々に理解していきます。
それはやがて言葉と なり、一語文となりますが、その一語の中には子どもの様々な思いが込めら れ、身近な大人との対話の基本となります。
例えば子どもが発する「マンマ」という言葉は、母親などへの呼びかけで あるとともに、「マンマ食べたい」という欲求であったりします。
子どもは一語文に言葉を添え、応答的に関わる大人の気持ちを敏感に感じ取りながら、 伝えたい、聴いてもらいたいという表現意欲を高めていきます。
【離乳の開始】
この時期は、離乳が開始され、母乳やミルクなどの乳汁栄養から、なめらかにすりつぶした状態の食べ物を経て、徐々に形のある食べ物を摂取するよ うになります。
そして、少しずつ食べ物に親しみながら、また咀嚼と嚥下を 繰り返しながら、幼児食へと移行していきます。
1歳から1歳6か月頃になると、自分の手で食べたいという意欲が芽生え、 食べ物に手を伸ばして食べるようになります。
このことは、食べ物を目で確 かめて、感触を確かめ、手でつかみ、口まで運び、口に入れるという、目と手を協応させる力が発達してきた証しともいえます。
離乳食による栄養の摂取は、生命を維持し、健康を保つためには欠かせませんが、子どもが楽しい雰囲気の中で、喜んで食べることが大切です。
様々な食品に慣れ、食材そのものの味に親しみ、味覚の幅を広げながら、子ども は自分で食べようとする意欲を高めていきます。
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