3歳の子どもと会話ができない?会話にならない?| “関わり方”が言葉を育む
子どもが、うまく会話のキャッチボールをできるようになる年齢は、おおよそ3歳前後。
この「3歳」という年齢は、近所の子どもと仲良しになったり、幼稚園へ通うことになったりして、“おうち”以外の人とのコミュニケーションが増えてくる時期でもあります。
ただ、「同じ年齢くらいのお友達と遊んでいる様子を見て、自分の子どもの会話の遅れ・会話の拙さに不安を覚えてしまった」という人は、決して少なくないようです。
今回は上記のように、「3歳の子どもとの会話が思い通りにいかない」とお悩みのママ・パパに向けて、3歳児の”会話力”をつちかうためのコミュニケーションの取り方を、まとめてみました。
まず、これは3歳児に限ったことではありませんが、子どもの言葉の発達には個人差があります。
生まれついた性格など“先天的要因”による会話の得意・不得意や、育った環境が影響した“後天的要因”による会話の得意・不得意が、個人差としてあらわれるわけですね。
そのうえで述べますと、3歳の子どもは言葉をやりとりして会話ができるようになります。なかには、ママ・パパがたじたじになってしまうくらい、流ちょうに会話ができるようになる3歳児もいます。
単語と単語をたくさん繋げた「多語文」による会話が、もうひと段階ステップアップして「文章」による会話になるというイメージです。
また、「遊びたい」や「食べたい」、あるいは「行きたい」といった、大人に伝えたい何らかの”要求”だけではなく、例えば「今日保育園で○○をしておもしろかったよ!」というような”気持ちの共有”が、会話によって可能になるのも、ちょうど3歳くらいからです。
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しかしその一方で、赤ちゃんが使う「アー」や「ダー」といった言葉で反応する3歳児、言葉を発してはいるけど会話にはならない3歳児もいます。
周りの3歳児と比較して、自分の子どもの会話能力が遅れていると感じる場合。
その”言葉の遅れ”が個人差の範囲なのか、それとも自閉症や発達障害として捉えるものなのか、判断は医療機関に任されますが、親ができることの内容にそう大きな違いはありません。
その言葉の遅れが、見守っていれば自然と追いついていくものなら良いのですが、言葉を理解していないという場合は親が積極的に話しかけていかないと、今までの関わりのままでは、言葉が進んでいかないかもしれません。
自然と追いついていくかどうか、の目安としては、毎日の生活のルーティーンのような同じ言葉だけではなく、年齢相応の絵本のお話もよく理解して、内容についてお喋りが成り立っていれば、口数が少ないだけかもしれませんが、言葉自体が分かっていないようであれば、周りの関わり方を変えて、子どもが言葉を理解して、どんどん会話するような関わりをしていく必要があります。
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「会話が苦手かも?」と思う3歳くらいの子どもと、どんな会話・コミュニケーションをするのがよいか、次の項目でいくつか取り上げたいと思います。
⇒ 「会話」ができるようになるまでの言葉の発達の流れを詳しく見る人はコチラ
※「幼児の言葉を発達させるために親ができること」のコラムにリンクしています。
3歳の子どもを育てる親が持つ、”会話”に関する悩みは「【1】会話ができない」と、「【2】会話にならない」の2パターンに分かれている雰囲気があります。
親からの声かけだけでなくあらゆる”音”に対し、反応が無い・薄い・遅い場合は、耳に何らかの異常が認められる場合があります。
「大きな音がしても振り向かないな?」など疑問を感じたら、市町村の保健所に相談に行くことや、小児科を受診することを推奨します。
⇒ 言葉が出てこない子どもの聴力検査に関するコラムはコチラ
※「聴力検査・耳の聞こえの検査とは?言葉が遅い幼児期の子どもの場合」のコラムにリンクしています。
子どもが言葉を一つも喋らない場合、「喃語が少ない」場合と「喃語は沢山出ているのに言葉にならない」場合があります。
喃語が少ない場合は、喃語を増やすように、親がいろんな音を聞かせることから始めると良いです。詳しくはこちらにまとめています。
喃語はいろんな種類出ている、よく声を出しているのに、そこから言葉へ変わって行かない場合は、言葉で伝える必要性を感じていないのかもしれません。
言葉は相手に伝えるための便利な手段だということに気付くための関わり方をしていくと良いです。詳しくはこちらにまとめています。
また、子どもから言葉が出てこなくて会話ができない場合、会話の基盤となる語彙(=ここでは子どもが意味を理解している単語の数と定義)が少ないのかもしれません。
会話の対象物を実際に見ながら話をすること、そして「○○のこと?」「それとも△△かな?」という感じで、言葉の選択肢を出すことで、言葉の意味の答え合わせ・すり合わせをしながら、会話ができるといいですね。
“言葉が出てくるのを待つ”のではなく、“言葉が出てきやすい環境でどんどん声かけをする”ことが大事です。
「3つ子の魂100まで」と、昔からのことわざにあります。
3歳ごろに上記で述べたような“会話力を育てるための会話”が少ないと、大人になっても会話の苦手意識を残すことにもなりかねないので、どんどん声をかけていきましょう。
子どもが自主的に会話をしてくれない場合や、会話を続けたくない態度が見られる場合は、子どもが会話をおっくうに思う原因がないかを考えてみましょう。
「子どもからこんなことを聞きたい」という親の気持ちが強すぎると、聞きたいことだけ質問攻めにしてしまったり、自分が聞きたいタイミングで、全部の話を聞き出そうとしてしまいがちです。
子どもにとっての会話が”面倒な作業”になると、子どもが自発的な会話や長い会話を避けたがります。
子どもにしてほしい話をしてもらうのではなく、まずは子どもがしたい話を自由にしてもらうことで、会話のマイナスイメージを減らすことからはじめてみましょう。
「言葉の意味は分かっているようだけど、会話をうまく返すことができない……」という子どもの場合、知っている言葉の種類(=語彙)が少なくて、自分の気持ちや状況に合った言葉を選べないでいるのかもしれません。
先述した”言葉が出てこないパターン”と、背景が少し似ています。
そのため対処法も同じく、簡単な会話からとにかく声かけをしてみて、会話が支離滅裂になってきたら、「もしかして○○のことかな?」とサポートしてあげましょう。
大人のサポートを介し、子どもが「これを伝えたいときは○○と言えばいいのか」と1つずつ覚えていくことによって、会話中に支離滅裂になってしまう部分が、徐々に減ってきます。
⇒ 言葉の遅れを改善して安心して幼稚園へ送り出せる「お話する力」の育て方はこちら
「発音が悪くて何を言っているか分からない」、または「よく言い間違いをする」という子どもと会話をする時。
その発音や言い間違いがその場でなおるまで、無理に修正する必要はありません。
会話が苦手な3歳くらいの子どもには、一言一句間違えずにハキハキ会話ができることよりも、会話をすること自体がいいことだと思ってもらうことのほうが重要です。
発音が苦手で言い間違いがあるとしても、とにかく言葉を発してくれているということは、言葉で自分の気持ちを伝えようとしている意思があるということ。まずは、その意思を尊重することが、会話力を育むために必要です。
自分が話す時はなるべくゆっくり話して、1つ1つの言葉を聞き取りやすくしてあげるといいですね。
⇒ 言葉の遅れを「インプット段階」と「アウトプット段階」に分けて解説したコラムはコチラ
※「言葉の遅れの2つのタイプ あなたのお子さんはどっち?【保育士監修】」のコラムにリンクしています。
3歳の子どもの言葉の遅れについて、当『澄川綾乃のことばカンタン家庭療育』に相談をいただき、声かけの仕方やコミュニケーションの取り方、一緒にできる遊びを通して、言葉が少しずつ出るようになった例を挙げてみます。
3歳で言葉が出ず、目に入った対象に次々と行動を移してしまうお子さん。
「パーソナルプログラム」に取り組んでいただき、お子さんが手に触れたものに「あんなものだね」「こうだね」と共感し、1つの遊びに集中力を持てるようにしました。
結果、大好きな恐竜のマネで「がおー!」と言ったり、「いや!」と言葉で意思表示できるようになりました。
⇒ 詳しくはコチラ
言葉が出ない3歳のお子さんと、「パーソナルプログラム」に取り組みました。
一緒に楽しく遊びながら、「これなあに?」「これだあれ?」と、日々積極的な声かけをして、プログラム開始から3ヶ月目には、二語文、および簡単な会話が成立するようになりました。
「クリスマスプレゼント、なにがほしい?」と聞くと、「これがほしい!」と教えてくれます。
⇒ 詳しくはコチラ
ほとんどの質問に「うん」と返すだけだった3歳のお子さんも、「パーソナルプログラム」への取り組みでいい変化が次々にあらわれました。
お母様はともかく声かけを続けているうちに、”何と言っているか分からないけど、自分なりの方法で何かを一生懸命伝えようとしている”事実に気付いたと仰います。
ある日、お子さんは「来て!」とお母様の手を引きながら言い、自分で積み木で作った人形のお家を見せてくれたそうです。
「こんなことができるんだ!」と驚きと同時に、子どもが何かを一生懸命伝えようとしてくれていることの嬉しさを、感じられているようでした。
⇒ 詳しくはコチラ
子どもが成長し、会話ができるようになったら、「もっと長く会話したい」、あるいは「会話でもっと色んなことを伝えてきてほしい」という気持ちが出てくるかと思います。
特に、保育園や幼稚園に通うなどして、家庭から出て”外の世界”との触れあいが増えてきた子どもが、どんなことに心を動かされているのか、会話によって具体的に知ることができたら嬉しいですよね。
そのために、親はどんなことをしてあげられるのでしょう?
今よりもっと、会話を通した子どもとのコミュニケーションを充実させたいのなら、子どもが話したいことをもっと話せる質問を投げかけてあげるといいです。
例えば、保育園や幼稚園で作った作品を持って帰ってきた時。出来栄えを褒めてあげることもいいですが、できれば”過程”のことを質問してあげてください。
「すごい」や「えらい」と褒めるだけでは、会話は1回しか往復しません。
「すごいね、ここはどうやって作ったの?」などと質問をして、会話のラリーを意図的に増やすことが望ましいですね。
こうしたやりとりは、子どもの興味・関心をより深く知ることに役立つばかりではなく、子ども自身が「ママやパパにたくさん伝えよう!」と頑張って言葉を探す結果、会話のアウトプット能力を育むことにも繋がります。
⇒ >> うまく言葉が出てこない・上手に説明できないのはなんで?会話が出来る子に育てるには
以上、3歳の子どもとの会話に関する悩みや、それに対して親が取り組めることをまとめました。
⇒ 3歳で喋らない子どもの様子や特徴についてまとめたコラムはコチラ
※「3歳で喋らない子どもの様子・特徴」のコラムにリンクしています。
「会話ができない」・「会話にならない」を含めた子どもの発育段階に、同年代の子どもの平均から大きな遅れが見られる場合、自閉症や発達障害の診断を受けることもあります。
ご家庭での取り組みだけでなく、医療分野からの有効なケアも多くありますので、不安であれば市町村の保健所などに相談しましょう。
さて、「3歳の子どもに芽生えた自我や個性を大事にしたい」という気持ちから、「苦手ならしなくてもいいかな?」と、本当はできるはずの会話を減らしてしまうことは、”子どもの成長”にとっても、そして”親子のコミュニケーション”にとってもよくありません。
「うちの子どもは会話が苦手だからしたくないんだ」と決めつけず、会話のキッカケになるような話題は、積極的に振ってあげることが大切です。
なかなか言葉を出さない子・会話にしない子も、周りから声をかけ続けてもらうことで、”内側”にはどんどん言葉がたまっていきます(=言葉のインプット)。
今は会話が苦手な子どもや、あるいは会話が面倒で避けている子どもが、いつか「言葉で伝えたい」と思ったことを思い切り話せる材料(=アウトプットできる言葉)を、声かけによって多く揃えてあげたいですね。
<【保育士監修】お役立ち情報>
発達障害や自閉症・言葉が遅い子どもを育て方の情報をお伝えしています。
ほんのちょっと声掛けを工夫するだけで、子どものことばを引き出していく方法を、子どもの発達段階に分けて、保育士監修の無料メール講座(メルマガ)でご紹介しています。
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『澄川綾乃のことばカンタン家庭療育』は子どもと雑談・日常会話を楽しむことを重視した家庭療育プログラムを作成することができますので、お悩みの方はぜひご相談ください。
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