感覚統合とは?発達障害や自閉症の子の運動や手先の器用さを家庭で改善するトレーニング方法をご紹介
感覚統合の発達が遅れると、その感覚自体の感じ方が人と極端に異なったり、複数の感覚を統合して身体を動かす時に、ぎこちない動きになったりして問題が生じることがあります。
子どもの発達の順に沿って、0歳から順番に年齢を追って、どんな問題が起きるのかを見ていきながら、ご家庭で改善していく方法をお伝えします。
感覚統合とは、人間が持っている五感である、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、から情報を入手して、脳の中でそれらの情報を統合することで、それにより、人間は身体を動かします。
発達障害や自閉症の子は、これらの感覚統合がうまく行かないことで、みんなと同じことをするのを極端に嫌がったり、やってもうまくいかない事があります。
具体例を入れて、お伝えしていきますね。
この頃の発達は、それぞれの五感自体が発達していき、物事を区別できるようになっていきます。
0歳の赤ちゃんは、食べられるもの、食べられないものの区別がありません。食べ物や飲み物、おもちゃなどを口に入れていくうちに、食べられるもの、食べられないものを区別するようになります。
そして、次第に、食べられるかどうかだけではなく、おいしいかどうか、甘いか辛いか、という風に、次第に詳細に区別できるようになっていきます。
それは、味覚だけではなく、他の感覚も同様のことが言えます。
そうやって、人間は、人間界の物を理解していきます。
このような感覚が、年齢とともに発達していく速度が、発達障害や自閉症の子は、人より極端に遅い、または特定の感覚が鈍かったりすることが「鈍感」であり、人より特定の感覚に過剰に反応するのが感覚過敏です。
身体をいろんなところに擦り付ける子どもも、感覚過敏が関係しています。
1歳から2歳頃に現れる、感覚神経の問題に「三班神経」の問題があります。
発達障害や自閉症の子どもによくみられる症状ですが、クルクル回るのが大好きで、たくさん回っても目が回らない、ということがよくあります。
これは、三班神経の発達が遅れていることによると言われています。
発達障害や自閉症の子によくある感覚の問題「感覚過敏」は2歳から3歳頃に現れることが多く、砂やスライムを触るのを嫌がったり、園の水道の下に敷いてある人工芝の水切りマットを嫌がる子がよくいます。
このような感覚過敏は、発達障害や自閉症の子のこだわりになり、最初は極端に嫌がるのですが、ほかのこだわりと同様に、見慣れることや触りなれることによって、慣れていきます。
対処方法としては、嫌がるからと生活の中から排除してしまうより、生活の中に少しずつ取り入れて、嫌がらない程度に使用していくのが良いです。
発達障害や自閉症児の2歳から3歳頃によくある感覚の問題としては、「偏食」があります。これも、味覚の発達途上であることが理由です。
偏食の改善・対処方法はこちらに詳しく記載していますが、園での集団行動や食育により改善していきます。
2歳前後のお子さんによくある感覚統合の問題としては、お洋服を着る時にズボンの後ろが上手にあげれない、4歳前後ではトイレでお尻を上手に拭けない、ということがあります。
これも感覚統合の問題で、発達障害や自閉症の子は自分の身体の後ろがどこまであるのか、ボディーイメージをしっかりつけられていないのが原因です。特に、身体の後ろは見えないため、自分の身体の後ろがどうなっているのかが理解できていないんですね。
ボディーイメージの改善として、発達障害や自閉症児によく行われるトレーニングは、いろんな素材のものでお子さんの身体に触る、というトレーニング方法です。
同じ様に、ご家庭で行う場合は、お風呂で身体を洗う時に、こすってあげながら部位を教えたり、お風呂上りに拭いている個所を言ってあげると良いです。
発達障害や自閉症児の2歳前後の感覚統合の問題としては、つま先歩き、ふらふら歩く、両足ジャンプができない、ということもあります。
人は、歩くときは、五感を全部使って、どこが歩ける場所なのか、下は平らなのか凸凹なのか、どのくらいのかたさなのか、などの感覚からの情報を統合して、歩き方を瞬時に決めています。
感覚統合が発達途上だと、ふらふら歩いたり、ロボットのようなぎこちない歩き方になったりします。
発達障害や自閉症児が、両足ジャンプが出来ないのは、右足と左足を同時に動かす、という、2つのことを同時にするのが苦手だからです。右足と左足の神経へそれぞれ信号を送り、同時にタイミングを合わせて飛ぶ、ということは、意外とむつかしいことで、感覚統合の問題としてよく現れます。
このような、ふらふら歩く、両足ジャンプ、などの問題を改善するために、歩きにくいところを歩いたり、トランポリンで飛んだりすることが、一般的によく行われています。
発達障害や自閉症児が転んで手をつけない、という問題も、最近の子どもによくある感覚統合の問題です。
発達障害の子どもだけでなく、歩行器を使って早く歩くようになった子どもが、ハイハイの期間が短かったために、手をつくことを覚えていいないために、よく起こります。
転んで手をつけいない子の改善方法として、理学療法や作業療法などで、バランスボールの上に寝転んで、床に手をつく練習などが行われます。
運動機能が発達する3歳、4歳、5歳頃には、発達障害や自閉症児の感覚統合の問題は、三輪車に乗れない、縄跳びができない、鉄棒ができない、などの運動活動で同年代の子と差が開くことがあります。
これらの共通点は、2つのことを同時に動作するのが苦手、という点です。
このような、2つのことを同時に動作するのが苦手な子のために、家庭でできる改善方法は、幼児期にはこんなアスレチック遊具や、小学生でも楽しいこんなアスレチック遊具、スモールステップのこんなアスレチック、自然の遊具で良く遊ぶことです。
子どもは、網にしがみついて登ったりすることにより、右と左、手と足を上手に同時に動かせるようになります。
自閉症の子どもに高いところへ登りたがる子が多いので、是非、そういうお子さんには、アスレチックでのびのびと遊ばせてあげてくださいね。
<参考記事>
>> 発達障害や自閉症の子の行動:同時に2つの動きをすることが苦手なことについての対応方法:感覚統合の改善
>> 発達障害や自閉症の子の行動:高いところに登る理由と登ってほしくない時の対処方法
三輪車の場合は、手はハンドル操作、足はペダルをこぐという動作になります。
脳からそれぞれに信号を送り、同時に処理する、ということが、感覚統合がうまくいっていない子どもには、むつかしいんですね。
縄跳びの場合は、回すことと飛ぶこと、鉄棒は握ることと回ること、このような2つの動作を同時にしなければいけないことが、感覚統合の問題となって現れるんですね。
また、3歳、4歳、5歳頃には、箸を上手に使えない、物をそっと静かに置けない、牛乳を注げない、という不器用さも、現れます。
物を上手に操作するためには、自分の持っているものについて、視覚で距離を把握しながら、触覚とのやりとりで物を操作します。感覚統合がうまくいっていないお子さんは、不器用さとなって現れます。
三輪車、縄跳び、鉄棒、箸などの物の操作における感覚統合の問題の改善方法は、発達障害や自閉症児にも時間をかけてゆっくり取り組んでスモールステップで少しずつ習得させていくことです。じっくり取り組んでいくことで、発達障害や自閉症児もちゃんと上達していきます。
小学生からの学童期になると、発達障害や自閉症児の子によくある感覚統合の問題は、学習面に現れる問題です。
授業の45分間、同じ姿勢を保持するのがむつかしいなどの感覚統合の問題です。
姿勢保持の問題については、発達障害や自閉症児の体幹が弱い場合もあり、よく運動することが改善につながります。
また、右手で鉛筆を持って左手でノートを抑えるという2つのことを同時にするのが苦手だったり、身体が傾いていて左手で机を持って支えている場合もあります。
姿勢保持の問題の改善方法は、正しい姿勢の練習をしていったり、身体を支えるためのクッションなどの補助具を活用することが行われています。
運動面の他に、発達障害や自閉症児の感覚統合の問題は、文字や数字が枡の中に上手にかけない、という感覚統合の問題も現れます。
枡の中に上手に書けないのも、視覚から入った罫線と、触覚から入った情報の自分の手を動かしているという感覚がうまく統合されずに、マス内に字が入りきらない、というの問題があります。
まずは、上手にかける大きい枡で練習して、少しずつ小さい枡に書く練習をしていきます。この方法は、学習障害の書字障害のお子さんや知的障害のお子さんにも有効で、よく取り入れられています。
小学校では、プールから上がって自分で髪や体を拭きますが、これが上手にできない、という感覚統合の問題もあります。お風呂で身体を上手に洗えないのも同様です。
こちらも、ボディーイメージがついていないことが原因で、鏡を確認しながら丁寧に教えていくことで改善していきます。
プールで泳ぐことが苦手なのも、全身を上手に動かすことが、感覚統合の問題として現れます。。
感覚の発達の時期、運動の発達する時期、手先が発達し学習面が発達する時期、に分けてお伝えしました。
このように、感覚統合の問題は、日常生活や園や学校の活動の様々なことに影響を与えます。だからこそ、発達の時期と苦手なことを把握することで、感覚統合の苦手に早く気づき、対処してあげることができます。
何事もいっぺんに解決しようとしないで、1つずつ課題設定して直していくのが良いですよ。そうすることで、出来ることが増え、問題に感じることが減っていきます。
是非、参考にしてくださいね。
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